静岡県には83種類の淡水魚が記載されていています(板井(1972)。
淡水魚にはその生活史により、大きく分けて3種類があります。
一次性淡水魚:一生を淡水で過ごし海に下ることはありません。通し回遊魚:一生のうちで海や汽水域に降り再び淡水域に戻ってという生活史を持つという魚。周縁性淡水魚:河口などの汽水に生息する魚で、一時的に多淫水域を利用している魚。
この中には釣りの対象になるものばかりではなく、大人になっても数センチにしかならないハゼなど多くの種類がいます。以下のそれらを紹介します。まだ少ないのですが、徐々に増やしていきたいと考えます。
アユ
Pleccoglossus aletivelis
日本中の河川の中下流域の棲息し、清流を表すの代表的な存在。近年は種苗放流が盛んに行われているが、遺伝的なかく乱は確認されていない。しかし、将来的には自然分布を考えた資源の造成を検討する必要がある。
カワムツ
Nipponocypris temminckii
川の中流域に生息するコイ科の魚。放流アユの種苗と一緒に持ち込まれた可能性が高く、県内全域に分布する。近年は、増える傾向にあり、オイカワの棲息と入れ替わっている。オイカワよりも緩やかな流れを好む。
シマヨシノボリ
Rhinogobius sp
県内の川に普通に見られるハゼの仲間。最近では多くの型が確認され、別種になる可能性がある。春に下流で産卵し、生まれた仔魚は海に下り、稚魚になって戻ってくる
サツキマス
Oncorhynchus ishikawae
アマゴの降海型。河川での成長速度により降海する年齢が異なり、川で1年または2年間の生活ののち降海する。海で半年間生活した後に、再び川に戻ってくる。
タカハヤ
Rhynchocypris oxycephalus jouyi
渓流域に生息するコイ科の魚。一生を淡水で過ごし、海に下ることはない。アマゴと同じところに生息するが、流れの速いところはアマゴ、緩やかなところは本種と棲み分けている。近縁にアブラハヤが分布する。本種は富士川水系以西に天然分布する。
スミウキゴリ
Gymnogobius urotaenia
川の下流付近にみられるハゼの仲間。浮いているゴリ(ハゼ)の名前のように、中層に浮いていることが多い。近縁のウキゴリとは背鰭に黒い斑紋があるかないかで区別される。
アマゴ(河川残留型)
Oncorhynchus ishikawae
静岡全域の河川の上流に棲息し、渓流釣りの対象。本流では30㎝以上に成長することもある。また、ダム湖の上流では湖から遡上した大型のアマゴが釣れることもある。
コイ
Cyprinus carpio
佐久間湖などの湖や天竜川などに棲息し、大物釣りの対象として注目されている。天然のコイは細長く、飼育されていた個体が川になると写真のように太くなる。川では流れの速いところに棲息する
ヒラテテナガエビ
Macrobrachium japonicum
降海型の淡水エビ。オスは写真のように強いツメを持ち、魚にも襲い掛かる。
イワナ(ヤマトイワナ)
Salvelinus leucomaenis leucomaenis
静岡県では大井川と天竜川の水系の上流域に天然分布している。しかし、近年これらの分布域に養殖されたニッコウイワナが多く放流されてしまい。在来のヤマトイワナはほとんど見られないのが残念。
カジカ
Cottus pollux
川の上流に棲息する。一生海に下らない。晩秋に石の下に産卵し、春になると稚魚が生まれる。県内での生息域は小さくなる一方で、人間の生活の影響が直接棲息を狭めている
トウカイナガレホトケ
Lefua sp.
普通のドジョウとは口ひげの数が異なるなど別の属に含まれる。この仲間は日本には3種類が知られているが、本種はホトケドジョウの分布域に出現するドジョウで、学名すら決まっていません。静岡県内でも正確な生息場所はわかっておらず、今後詳細な調査が必要な種です。
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